限界栓ゲージ
穴の大きさを検査するゲージです。
JIS規格では、「穴用限界ゲージ」と書かれていますが「栓ゲージ」と呼ばれることが多いです。
ゲージ鋼という鋼の一種でできています。
測定の仕組みは、検査しようとする穴の公差に対し、最小値で作った(正確には最小値を基準として作った)通り側と、最大値で作った(こちらも正確には最大値を基準として作った)止り側で検査します。
検査しようとする穴の合格範囲(公差)に対し、最小値で作った(正確には最小値を基準として作った)通り側と、最大値で作った(こちらも正確には最大値を基準として作った)止り側で検査します。
通り側を穴に入れて無理なく通り抜け、なおかつ、止り側が穴に入らなければ、穴は検査に合格したことになります。通り側は穴の最小値を基準にして作り、止り側は穴の最大値を基準にして作ります。
また、ゲージにはゲージとしての合格範囲(公差)を設定します。検査する穴の公差と区別するために、これをゲージ公差と呼んでいます。ゲージ公差がありますから、通り側が穴の最小値で作られている、というのは厳密には正確ではありません。また、限界栓ゲージを購入するときに、穴の公差とさらにゲージ公差まで指示しなくても注文は成立します。その理由は、ゲージ公差は決められた設定方法があり、各ゲージメーカーは常にそれに則って作っているからです。
限界栓ゲージの参考規格(日本精密測定機器工業会規格)
- JIS B 7420 限界プレーンゲージ
- JIS B 0401:1998 寸法公差及びはめあいの方式
- JMAS 4005 JIS B 0401にない公差に対する公差等級の決め方
- JIS B 7420 限界プレーンゲージ
例1)穴の径と公差 25 +0.035/+0.005
通り/止り | 基準寸法 | ゲージ公差 | 摩耗限界寸法の許容差 |
通り | 25.005 | +0.007/+0.003 | -0.004 |
止り | 25.035 | ±0.002 | なし |
例2)穴の径と公差 25 +0.035/+0.023
通り/止り | 基準寸法 | ゲージ公差 | 摩耗限界寸法の許容差 |
通り | 25.023 | +0.0032/+0.0008 | -0.0015 |
止り | 25.035 | ±0.0012 | なし |
上記の例①~②では、穴の径が同じでも、公差が広い場合と狭い場合ではゲージ公差が違ってくること、また、通りゲージがプラス目で作られるので、実質的な合格範囲が本来の公差よりも狭められて検査されることが分かると思います。
そして、通り側は摩耗することが考慮されていて、あらかじめ摩耗の限界寸法が定められています。
これに対し、穴の公差により近い合格範囲で検査したいという理由で採用されているゲージ公差の設定方法があります。現在は廃止になっている規格で認知度は低いです。上の設定方法と区別するために“検査用”と呼ばれています。
検査用限界栓ゲージの参考規格(日本精密測定機器工業会規格 1997年に廃止)
- JMAS 4004:1969 検査用限界ゲージの公差、寸法許容差及び摩耗しろ
例1)穴の径と公差 25 +0.035/+0.005 検査用
通り/止り | 穴の径と公差 | ゲージ公差 | 摩耗限界寸法の許容差 |
通り | 25.005 | +0.0005/-0.002 | なし |
止り | 25.035 | +0.002/-0.0005 | なし |
例2)穴の径と公差 25 +0.035/+0.023 検査用
通り/止り | 穴の径と公差 | ゲージ公差 | 摩耗限界寸法の許容差 |
通り | 25.023 | +0.001/-0.0015 | なし |
止り | 25.035 | ±0.0012 | なし |
限界栓ゲージの検査用を使う際の注意点は、加工側と受入れ側など別々の検査をする場合、一方だけが検査用のゲージを使うと判定の差異が起こってしまうことがあることです。両者のお打合せが必要です。
寸法検査対象製品
以下製品のめねじの内径の検査
- メートルねじ 新JIS ※ねじゲージはこちら
- メートルねじ 旧JIS ※ねじゲージはこちら
- 管用平行ねじ G ※ねじゲージはこちら
- 管用平行ねじ PF ※ねじゲージはこちら
- ユニファイねじ ※ねじゲージはこちら
- その他の平行めねじや穴の直径検査
限界栓ゲージ の販売店常備在庫品
販売店の常備在庫状況は以下です。
H7
その他の限界栓ゲージ
限界栓ゲージ 検査方法
検査項目 | 穴の 規格最小値 |
使用ゲージ | 限界栓ゲージ(通) |
判定方法 | 穴に入れて無理なく通り抜ければ合格。 |
検査項目 | 穴の 規格最大値 |
使用ゲージ | 限界栓ゲージ(止) |
判定方法 | 止り側が穴に入らなければ合格。 |